屋根塗装の「縁切り」「タスペーサー」って一体なんのこと?
どちらもの言葉も聞いたことがないという方も多いのではないでしょうか。
縁切りは雨水を排出させるための必要な工程です。
ここでは縁切りの目的、必要性などをご紹介します。
縁切りとは?
屋根を塗装する際に必要な作業
スレート瓦(カラーベストやコロニアル)の塗り替え時に、屋根材の重なり部が塗料で埋まってしまうことがあります。
縁切りとは、塗装後塗料で埋まってしまった屋根材の重なり部をカッター等で切り離す作業のことをいいます。
屋根や屋根材の形状は、雨水が下に流れるように設計されており、屋根材の下に入った雨水は屋根材の重なり部から排出されます。
その重なり部が塗料で埋まってしまうと、雨水が排出されず屋根材の下に溜まってしまい、下地が腐食し雨漏りが発生してしまいます。
縁切りは、雨水を排出させるための重要な作業です。
縁切りに不備があると雨漏りを引き起こす原因となります。
スレート屋根の構造
スレート屋根とは、薄い板状の屋根材のことをいいます。
一般的なスレート屋根は、幅90cm、厚み約5mm、重さ1枚あたり3.4㎏です。
屋根の構造
- 野地板(合板)
- ルーフィング(防水シート)
- 屋根材
スレート屋根の上部には4か所の穴が開いており、この穴に釘を打ち付けて貼っていきます。
釘を打ち付けたスレート屋根の上半分に重ねて貼る作業を繰り返して完成します。
水分の侵入と排出
毛細管現象
毛細管現象とは、細い管(毛細管)の中の液体が管を上昇したり下降したりする現象です。
雨水は、強風時や大雨など雨が降ったときに屋根材のすき間から侵入することが多く、毛細管現象で屋根材の裏に吸い込まれてしまうことがあります。
屋根材の裏に入った雨水は、排出できるようにようになっていますが、縁切りを行っていないと雨水の逃げ場がなくなるので、野地板などの下地が腐食してしまい雨漏りへと繋がります。
内部結露
結露は、湿気を含んだ暖かい空気が冷やされることで湿気が凝縮して水滴に変わる現象です。
内部結露は、建物の室内側で発生した結露が天井や屋根裏に上昇します。
縁切りをして屋根材の重なり部に隙間を作らないと、屋根裏で内部結露した水分がたまってしまい、天井裏の木材や断熱材を腐られせてしまいます。
縁切りの工法
往来の縁切り工法は、塗装をしたあとにカッターや皮スキ等を使った工法で、時間と費用がかかるものでした。
タスペーサーを使うことで、時間とコストを軽減することが可能になりました。
往来の縁切り工法
道具 | カッター・皮スキ |
---|---|
作業時間 | 2人で作業して約1日かかる |
作業内容 | 塗装後、塗料が乾燥してから重なり部の隙間をつくる |
仕上り |
塗装後に縁切りを行うため屋根に足跡がつく。 縁切り作業に力が必要なため屋根材にキズがついたり破損することがある。 |
効果 | 完全に隙間をつくることは難しいため期待した効果が発揮されにくい |
往来の縁切り工法は、塗装後に縁切り作業を行うため、仕上がった屋根に足跡が付きやすくなります。
カッターや皮スキを使っての作業で力を入れて行うため、屋根材にキズがついたり破損してしまう可能性があります。
往来の工法だと隙間を完全につくることは難しく、使用塗料によっては再度重なり部が密着してしまう可能性があります。
タスペーサー工法
道具 | タスペーサー |
---|---|
作業時間 | 2~3時間程度 |
作業内容 | 下塗り後1枚の屋根材に対して左右15㎝間隔で2個のタスペーサーを挿入する |
仕上り | タスペーサー挿入後に上塗りを行うため仕上がりが綺麗 |
効果 | 適切に隙間をつくることができるため雨水が溜まりにくく通気性も適度に確保できる |
タスペーサー工法は、下塗り後に挿入して中塗り・上塗りを行います。
仕上がった屋根に上る必要がないので、屋根材にキズや割れてしまう恐れがありません。
往来の縁切り工法と比較すると、作業時間が短くなり人件費が抑えられ、仕上がりも綺麗になります。
時間と費用をかけても期待する効果が発揮されにくいので、現在ではタスペーサーを使用するケースが多くなっています。
タスペーサーが不要なケース
タスペーサーはスレート屋根以外の屋根では使用できません。
スレート屋根でも屋根材の劣化が激しい場合や、野地板(合板)の腐食がある場合はタスペーサーを使用することができません。
また、屋根材の重なり部に4mm以上のすき間がある場合は、タスペーサーを挿入しても固定されず落ちてしまうので、取付けは不要になります。
タスペーサーは縁切りには必要な工程ですが、すべての屋根で必要と言うわけではありません。
屋根によっては不要というケースもありますので、専門家による診断を受けてから適切な措置を行いましょう。
縁切りの費用相場
往来の縁切り工法
塗装後にカッターや皮スキなどを使用して作業を行います。
単価は500円~600円/㎡です。
タスペーサー工法と比べて時間と手間がかかるので、費用も高くなります。
往来の縁切り工法は、仕上がった屋根にキズや足跡がついたりとデメリットが目立ちます。
タスペーサー工法
下塗り塗装後、屋根材1㎡にタスペーサーを10個挿入します。
単価は400円~500円/㎡です。
往来の縁切り工法と比べて時間と手間が短縮できるので、コストを軽減することができます。
まとめ
縁切りとは、スレート屋根の塗り替え時に、塗料で埋まってしまった屋根材の重なり部をカッターや皮スキなどを使って切り離す工程です。
スレート屋根は、屋根材の重なり部から雨水が排出されるように設計されているので、その重なり部が塗料で埋まってしまうと屋根材の下に水が溜まってしまい、雨漏りの原因になります。
縁切りの工法は、往来の縁切り工法とタスペーサー工法の2種類あります。
往来の縁切り工法は、塗装後に縁切りを行うため、屋根材にキズや足跡がついたり時間と費用をかけても期待する効果が発揮されにくいので、現在ではタスペーサー工法が主流になっています。
タスペーサーは、縁切りには必要な工程ですが、屋根によっては不要なケースもあります。
最後までお読みいただきありがとうございます。
船橋市と習志野市中心に塗装工事を行っている習志野建装では無料相談を受け付けています。
縁切りに関して気になる事や不安なことがございましたら、是非一度お問い合わせください。
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